「ここなら、やり直せるかもしれない。」
そう感じるようになったのは、住田町での滞在を重ねたからでした。
岩手県奥州市在住の北村敏彦さんは、2025年3月から4月、同年10月から11月、そして2026年4月から6月と、これまで3回にわたってイコウェルすみたの滞在体験棟を利用しました。
きっかけはインターネット検索。奥州市から車で訪れやすく、海・川・山に囲まれた自然環境にも惹かれたといいます。
当初の目的は、AIブログの立ち上げ。仕事に集中しながら、大好きなドライブも楽しめる環境を求めての滞在でした。
「作家の缶詰」作戦で、仕事に集中
滞在中の生活で北村さんが特に良かったと感じたのが、仕事に集中できる環境です。
自宅では、起きてからニュースを見たり朝食を食べたりしているうちに、気づけば10時近くになってしまうことも。
そこで住田町では、朝5時に起きると、まずパソコンに向かいました。
頭が冴えている朝の時間にブログのネタ集めや記事執筆を行い、午後からは頭を使わずにできる作業、その中間の仕事は昼食を挟んだ時間に。やることを時間帯ごとに分けて、集中的に取り組みました。
北村さんは、この過ごし方を「作家の缶詰」作戦と呼んでいます。
そして、仕事の合間には施設内を散歩し、鳥の声に耳を傾ける。季節の移ろいを感じながら過ごす時間も、滞在の楽しみのひとつでした。
3回の滞在で、少しずつ変わった
最初は2025年3月だけの予定だった滞在を、4月まで延長。
その経験を踏まえ、2回目は10月から11月の2か月間。そして3回目は、最初から「きっと延長するから」と考え、2026年4月から6月までの3か月間滞在しました。
滞在を重ねる中で、住田町に対する印象も変わっていきました。
北村さんが感じたのは、「やり直せる可能性」です。
新しいことを始めれば、必ず小さなつまずきがあり、ときには大きなつまずきもあります。
けれど、集中できる環境に身を置くことで、つまずいたときに立ち止まって原因を振り返り、もう一度前に進むことができる。
そして、豊かな自然が、気持ちをリセットする余裕を与えてくれる。
そんな経験から、北村さんは住田町を「やり直しを見守ってくれる街」のように感じるようになったといいます。
自然の中で、自分のペースを取り戻す
滞在中には、野生の猿が庭先に現れるという、自然豊かな住田町ならではの出来事もありました。
一方で、陸前高田市の「いわてTSUNAMIメモリアル」を訪れ、海を正面に眺めながら静かに考える時間を過ごしたり、イコウェルすみたの展示棟を見学したり。
住田町周辺の地域にも足を延ばし、ドライブを楽しみながら過ごしました。
また、テレビで知った町のドーナツ屋さん(US COFFEE)や大判焼き屋さん(青空)を訪れたり、住田町特産品販売センター「イーガストすみた」で地元の食材を買ったり、イコウェルすみた支配人の紹介で地域の集まりに参加したりと、少しずつ地域との接点も生まれました。

「移住できるうちに、体験してみてほしい」
3度の滞在を経験した北村さんは、これから利用する人にこう伝えます。
まずは、やりたいことを漠然とでも決めておくこと。
そして、最初からうまくいくとは思わず、「失敗して当たり前」という気持ちで来ること。
住田町についても、便利さだけを求める人には向かないかもしれません。一方で、静かな環境でカッコーやウグイスの声に耳を傾けながら過ごし、必要なときには車で30分ほど走って遠野市、陸前高田市、大船渡市などの街へ出かける。そんな暮らしを「アリ」と前向きに考えられる人には、合っているのではないかと話します。
そして北村さん自身は、「きっと、移住を考えるようになると思うから、移住可能な若いうちから体験滞在してみることを強くオススメする」と語ります。
仕事のことは、体験滞在中に考えればいい。まずは実際に暮らしてみる。
3度の滞在を経て北村さんが見つけたのは、仕事に集中できる環境だけではありませんでした。
つまずいても、また一歩を踏み出せること。
そして、その一歩を自然の中でゆっくり考え直せること。
住田町での滞在は、北村さんにとって、そんな「やり直せる可能性」を感じる時間になったようです。
※文中の画像は北村さんが撮影したものです。